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ストーカー事件 1/2

桶川ストーカー殺人事件

(1) 事件の経緯

 女性はゲームセンターで男Xと知り合い、交際を始めた。男Xは兄Yと風俗店を経営していたが、年齢も職業も偽っていた。嘘はすぐにばれた。

 男Xは高価なプレゼントを女性に一方的に贈り、女性が拒否する暴力を振るった。女性が男Xの自宅に訪れると隠し撮りされていた。女性がそれを摘すると男Xは逆上し、「これまでプレゼントした分(のカネ)を風俗で働いてでも返せ。さもなくば家族バラす」と脅した。

 男Xは30分おきに女性の携帯電話電話し、「の散歩をしている」と伝えると、「よりのほうが大事とはどういうことだ?そのを殺すぞ!!」と脅した。男Xは興信所を使ったり、女性の知人に金品を渡して女性のことを調べた。女性が携帯電話に出ないと、男Xは女性の自宅や友人にまで電話をした。女性は恐怖心から別れを切りだしたが、男Xは「家族をめちゃくちゃにしてやる」などと脅し、交際の続行を強要した。

 男Xと兄Yらが上尾市内の女性の自宅に押し入り、女性を脅して500万円を要するが、女性の父親に追い返された。女性とその両親が隠し撮りしたテープを持参し、上尾署に相談するが民事不介入を理由に追い返された。この日から女性の電話がかかるようになった。

 男の兄Yは風俗店の雇われ店長Zに女性の(殺を含めた)処理を依頼した。

 女性の自宅周辺および女性の通う大学に事実根の誹謗中傷のビラがばらまかれた。上尾署に告訴状を提出したが、受理されなかった。女性の父親の勤務先などに事実根の誹謗中傷手紙800通も届いた。上尾署員は手書きで「告訴状」を「被害届」に竄した。拠のビラも勝手に破棄した。

 上尾署巡査長は女性の母親に対し、「1度取り下げても再び訴えることができる」と言って告訴取り下げを持ちかけた。刑事訴訟法により1度取り下げた同内容の告訴は2度と行えないことを母親は知らなかったが、この申し出を拒否した。「告訴状」自体、既に存在しなかった。

 深夜、女性の自宅前に大音を鳴らした2台が現れた。通報したが、パトカーが来る前に逃走した。

 店長Zらは自宅前で女性を見り、12時桶川駅に来た女性をアーミーナイフで殺して逃亡した。

(2) 加害者の責任

  兄Y、店長Zら12名が逮捕されたが、Xは逃亡後自殺した。
 店長Zに懲役18年、見り役Uに懲役15年、運転手役Vに懲役15年の実刑判決が下された。
 兄Yは無期懲役となった(最高裁第二小法廷 2006年9月5日)。

 民事訴訟では加者側に計1億250万円の支払いが命じられた(2006年3月31日)。

(3) 埼玉県警の責任

 上尾署員3名が懲免職となり、その後、元刑事二課長と元係長に懲役1年6カ月、元課員に同1年2カ月、全員に執行猶予3年の判決が言い渡された(さいたま地裁)。
 上尾署で最初に女性に応対した元刑事で事件後に交番勤務となった巡査部長は、事件当時は上尾署員だった者への脅迫容疑で逮捕され、県警警視(事件当時は上尾署次長)の住むマンションの放火容疑で再逮捕され、中で自殺した。この再逮捕に不審を抱いた別の刑事自殺した。

 国家賠償請求訴訟では、埼玉県警側に550万円の支払いが命じられ(2003年2月16日)、確定した。

(4) 新法成立

 2000年11月、ストーカー規正法成立した。

西尾市女子高生ストーカー殺人事件

 小学校時代から友人が少なかった少年は中3の時に神戸の小学生殺人事件を知り、すごい悪いことをやってマスコミを騒がせた、として犯人に尊敬の念を抱いた。事件をまねて自分を「猛末期頽死」(もうまっきたいし)と呼ぶようになった。

 少年は中1の時に同級生の女性に好意をもち、中3の時に交際を断られた。以後、性的嫌がらせの手紙をげた箱に入れたり、跡をつけたり、嫌がらせの電話をしたりするようになった。女性の友人から厳しく注意されたが「自分は悪いことのできる強い人間だ」と考え、ストーカー行為を続けた。少年は女性と同じ高校に入学したが、1年の途中で退学した。

 女性は高2となった。夏の登校日、少年は自転車で登校中の女性を呼び止め、胸や背中をナイフで刺して殺害した。近くにいた別の女子高生にもナイフを突き付け、約20分間連れ回した。

 18歳未満であれば死刑にならず、成人よりも刑が軽くなることを知った上の犯行である。裁判長は「少年には被害者、家族への思いやりの気持ちが欠けており、自己中心的で刑事責任は重い」としたが、これらの情感の乏しい人格形成には「母親に暴力を振るう父親、精神的に安定しない母親など家庭環境の影響も大きい」と述べた。懲役5年以上10年以下の不定期刑が確定した(名古屋地裁岡崎支部 2000年5月15日)。

 女性の両親は少年と両親に損害賠償を請求した。女性の両親は「少年の両親が監督を怠り犯行を阻止できなかった」と主張した。8910万円の支払いを命じる一審判決が確定した(名古屋高裁 2003年8月6日)。

新橋ストーカー殺人事件

 女性は秋葉原の人気耳かき嬢であり、多い時は月65万円の収入があった。男は客として店の常連としてこの女性を指名し続けた。同店で少なくとも200万円以上使った。男が店外デートを要求したために出入禁止となり、ストーカーとなった。女性が拒否し続けたために、愛情が憎悪となった。

 男は果物ナイフ、包丁、ハンマーを準備して女性従業員の自宅を訪れ、応対した祖母を1階の玄関先で刺し、その後2階にいた女性を刺した。2人とも死亡した。

 裁判員裁判で無期懲役となり(東京地裁 2010年11月1日)、確定した。

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